【乃木坂46】 「設定温度」 歌詞の解釈

日本語について考えることが好きな大学生のけろけろと申します。

 

ブログというツールを思考の足跡として使おうと考え、開設しました。

 

1記事目は、乃木坂46 3rdアルバム「生まれてから初めて見た夢」収録曲の「設定温度」の歌詞における個人的な解釈について述べていきます。

 

Aメロからです。

 

『犬が誰かの影に怯えて唸り声あげるような

窓の外にある室外機が蒸し暑さの加害者』

 

来ました、乃木坂46の得意技、名付けて"客観的目線Aメロ" です。この情景描写的歌詞から季節は夏で外は蒸し暑く、室内ではエアコンを稼働させてその排気熱を室外機で外に逃がしているのだと、最初の一小節で理解できました。

 

『君ってどうして汗をかかないんだろう?

平気な顔して部屋の隅で夏を無視してる』

 

"君"が登場してきました。そしてこのワードがいいですね、"夏を無視してる"   秋元康の全く難しい言葉を使わずに世界を上手く表現することが出来る能力値の高さには脱帽です。このワード一つで彼女のなんとも浮世離れしていて、どんな時も涼しい顔で掴み所ないような雰囲気を読み取れます。秋元康ベストワンフレーズランキングがあればこの"夏を無視してる"は上位にくい込んでくるでしょう。

ここで間奏が入ります。AメロとBメロを歌い、間奏を入れてもう一度AメロとBメロを歌うという乃木坂では珍しいパターンです。

 

『音を消した古いテレビジョンは

何も伝えることがない』

 

これは君と僕の部屋の中での様子でしょう。同じ部屋の中に居るのに、テレビも付けずに君は部屋の隅に居るという状態です。おや?と感じた人もいるでしょう。彼らには微妙な距離があります。

 

『僕だけどうしてこんな苛立つのか

今も君のことを愛してても…』

 

あー"僕"が苛立っちゃってますね、主人公である"僕"が"どうしてこんなに苛立つのか"と歌われているのかがここからのサビへの展開で判明することになります。

 

『このエアコンの設定温度

君と僕はきっとすれ違っているんだ

少し下げれば涼しくなると分かってはいても

君が寒がってしまう』

 

はい、なんで苛立っていたかというとエアコンの温度が高かったからなんですよ。暑いとイラついちゃいますよね、分かる。でも"僕"はそれを決して言葉にはしません。"少し下げれば涼しくなると分かって"はいるんです。当たり前です。でもをそれをしてしまうと"君が寒がってしまう"ということも分かっているから。良いですね。目には見えないけど、そこに確かに存在する"君"への想いや思いやりが浮き上がってきます。

 

『そんな気遣いは無駄なことらしい

僕のTシャツは汗でびしょ濡れだ夏のせいじゃない』

 

言葉にはしないが僕が確かに形にしている"君"への想いに、気づいていないと思っているのか、気づかないふりをされていると思っているのか、"僕"は"そんな気遣いは無駄"だと思っています。"君"のことを想ってエアコンの温度をさげない、そのおかげでシャツが汗まみれになります。決して暑い夏のせいではない、と。

ここまでが1番です。

この曲の展開の仕方は独特で、1番の後に同じメロディーで2番を歌うという展開ではなく、1番を歌ったのち、Cメロへと向かい、落ちサビを迎えるというような展開を見せます。1番のあとの間奏が最高です。このギター、色んなことに悩みながら、夏の夕暮れ時にこのメロディーを聴いたらホロホロと涙が出てきそうです。

 

『一瞬だけの安い打ち上げ花火

ただの悪ふざけのようだ』

 

すみません、この歌詞、全く解釈が広がりません。まじです。何故ここで打ち上げ花火のことが歌われているのか、何が悪ふざけなのか、3日くらい考えていましたがどうしてもこの一節だけは何になぞらえているのか全くピンと来ませんでした。"君"が"僕"のことをあまり好きではないという解釈を展開するなら、ここはもう少し考えようがありました。 

 

『君ってどうして早く眠れるのか

いつも僕がずっと寝顔を見てる』

 

また来ましたね、暑さをものともせず夏を無視する君。"僕"は"ずっと寝顔を見て"います。"君"は"僕"のこの想いに気づいてくれているだろうかと、願いながら。この温度より下げてしまうと、風邪を引いてしまうだろうから。

次の一節も秀逸です。

 

『この恋愛の設定温度君と僕はもっと言い合った方がいい人を愛せば優しくなって限界以上に我慢してしまうだろう』

 

"もっと言い合った方がいい"とはお互いがエアコンの温度に気を遣いすぎることを指しています。誰でも経験のあることだと思います。想いを寄せている人に、「ここはこうして欲しい」と感じても、ぐっと我慢をして、飲み込んでしまうことが。一緒に住んでるくらいなのに付き合いたてみたいです。

 

『そんな暑がりとそんな寒がりが一緒に住むから愛と呼べるんだ』

 

この曲を総括する一節が来ました。これを"愛"と捉えると"無駄"な"気遣い"と歌っていた先程の歌詞の意味合いが変わってきそうです。そこに愛が存在しているならば、二人はもう以心伝心というわけです、"気遣い"が介在する余地もない程に。ここで歌詞の転調が訪れたような気がします。急にこの二人、熟年夫婦のような風格が漂い始めました。

 

『そんな気遣いは無駄なことらしい僕のTシャツは汗でびしょ濡れだ秋はまだ遠い』

 

僕達二人の愛は冷めることなく、この夏の暑さようにまだ続いていく。と最後に歌い上げるわけです。

 


この曲、"僕"の愛に"君"は全く気づいておらず、「温度差」がある歌詞として捉えることも不可能では無かったですが、リリース時の乃木坂全メンバーで歌っていたことや、このメロディに乗せてネガティブなこと歌ってて欲しくなかった(私情)ので、前向きな歌詞として捉えました。

 


また、"秋はまだ遠い"とは、乃木坂の勢いが衰えさせることないように、まだまだ進んでいこうという決心ともとれると思います。

 

ここまで読んでくださった方、拙い日本語かもしれないですが、本当にありがとうございます。